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<急性中耳炎とは?>
中耳(鼓膜のむこう側)に細菌が入って増殖し,炎症が起こる病気です.
熱が下がらない,不機嫌でよく泣く,耳を痛がる,しきりに耳に手をやる,などが症状です.
風邪をひいたり,インフルエンザにかかった時に,細菌が中耳に入って起こることが多いようです.
<耳痛と耳だれ>
急性中耳炎で鼓膜が腫れる時に耳痛があります.
鼓膜が破れると耳だれが出て,痛みはなくなり,かえって熱は下がります.
中耳炎が治ったわけではないので,治療を続けましょう.
<治療>
(1)抗生物質を服用する:80-90%は抗生物質の服用で治癒します.7-14日間の服用が必要です.
(2)鼓膜切開をする:鼓膜が腫れている,痛みが強い,機嫌が悪い,熱が下がらない場合には,鼓膜を切って膿を出す必要があります.この場合には耳鼻科の先生を紹介します.
☆急性中耳炎の治療で大事なことは,抗生物質を勝手にやめないことです.完全に治さないと,再発することや,滲出性中耳炎を起こしたりします.
<保育所・学校>
急性中耳炎はうつる病気ではないので,保育所・学校に行ってかまいません.プールはきちんと治ってから入りましょう.
入浴,洗髪はしてかまいません.
<滲出性中耳炎とは?>
中耳に分泌物がたまった状態です.急性中耳炎のあとに起こることもあります.
アトピ−性皮膚炎,アレルギ−性鼻炎,気管支喘息などのアレルギー性疾患のお子さんは,耳管の出口にあるアデノイドが大きいために,耳管の通りが悪くなり,滲出性中耳炎になりやすいです.
<症状>
熱や痛みはありません.耳の中がつまった感じがする,聞こえが悪い,難聴などで気付きます.
<治療>
鼓膜所見にもよりますが,抗生物質,去痰剤,抗アレルギー剤を処方します.治癒までに数週間を要します,まずはこれらのお薬をきちんと服用して下さい.多くは内服薬だけで,軽快します.
ただし,風邪を引いたりすると,悪化する場合もあります.鼓膜所見が改善せず,鼓膜切開が必要な場合には,耳鼻科を紹介します.
<乳幼児中耳炎の特徴>
急性中耳炎には,3歳までに70%の小児が少なくとも1回は罹患します.
近年,急性中耳炎罹患の低年齢化とともに薬剤耐性菌の増加が問題になっています.
2歳以下の乳幼児は免疫能が十分に発達していないために,急性中耳炎が治りにくく,発熱や耳痛などの急性期の症状が消失した後も,中耳貯留液が3-4週間残ることがしばしばです.
<臨床症状>
急性中耳炎の臨床症状としては,耳痛,耳閉塞感,耳圧迫感,耳漏,耳鳴り,難聴などの耳の症状と,発熱,不機嫌,啼泣などの全身症状があります.
2歳以下の乳幼児では,耳痛や耳閉塞感を訴えることができないため,発熱,不機嫌,啼泣が主な症状です.
<鼓膜所見>
急性中耳炎の鼓膜所見は,発赤,膨隆,肥厚,可動性の低下,穿孔などです.
急性中耳炎の臨床症状は,抗菌薬投与により,治療開始5日目に,約90%の症例で改善します.
しかし,鼓膜所見は約30%の症例で改善が認められるに過ぎません.
2歳以下の乳幼児の場合には,中耳貯留液が残るため,鼓膜が乳白色に膨隆した状態が続きます.
<原因菌>
乳幼児中耳炎の起炎菌としては,肺炎球菌,インフルエンザ菌,モラキセラ・カタラーリスが3大起炎菌です.
ペニシリン耐性肺炎球菌やβ-ラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性インフルエンザ菌などの薬剤耐性菌が問題になっています.
もともと中耳腔は骨に囲まれた空洞のため経口抗菌薬が十分に局所に移行しないという性質があるため,薬剤耐性菌による急性中耳炎は容易に遷延化してしまいます.
免疫能の発達から見た場合,生後6カ月から2歳頃まではインフルエンザ菌などに対する抗体価が上昇しにくいことから,2歳以下の乳幼児では急性中耳炎が反復しやすいと考えられています.
<治療>
抗菌薬の内服を7-10日間行います.中耳貯留液が残り,鼓膜が乳白色に膨隆した状態が続く場合には,引き続き治療が必要になります.
中耳貯留液の消失には3-4週間かかるので,辛抱強く治療を続けましょう.
<扁桃肥大(へんとうひだい)とは?>
のどの奥の左右両側に扁桃(俗に扁桃腺と呼びます)がありますが,これが大きい場合を「扁桃肥大」と言います.
扁桃は5-7歳頃に最も大きく,その後小さくなり,中学生ぐらいになる成人と同じ大きさになります.
気管支喘息やアトピ−性皮膚炎などのアレルギ−疾患のお子さんは,扁桃が大きくなりやすいようです.扁桃が大きいと,いびきの原因や,息苦しくなります.
扁桃が大きいだけなら,手術は不要です.心配する必要はありません.
<手術が必要な場合は?>
(1)1年に何度も扁桃炎を繰り返して,その度に高熱がなかなか下がらない場合.
(2)扁桃に菌が住みついて腎臓などの他の臓器に悪影響を及ぼす場合.
(3)扁桃肥大のために気道狭窄が起こり息苦しい場合,睡眠時無呼吸症候群が起こる場合.
<アデノイド肥大(ひだい)とは?>
鼻の奥にアデノイド(扁桃と同じような組織)がありますが,これが大きい場合を「アデノイド肥大」と言います.
扁桃が大きいお子さんはアデノイドも大きくなりやすい傾向があります.
アデノイドが大きいと,鼻の奥が詰まって鼻で息ができなくなり,口呼吸になります.
いびきが大きくなって,眠りが浅くなり,寝ている間に数十秒間呼吸が止まる(睡眠時無呼吸症候群),注意力が散漫になったりします.
耳管(のどの奥と中耳をつなぐ管)における空気の出入りが悪いと滲出性中耳炎になって,難聴になることがあります.
<手術が必要な場合は?>
(1)滲出性中耳炎を繰り返して,難聴が治らない場合.
(2)睡眠時無呼吸症候群や注意力散漫があって,日常生活に支障がある場合.
<なんで鼻血が出るの?>
鼻の奥の方の粘膜に“キーゼルバッハの部位(図中矢印)”という静脈叢(じょうみゃくそう)があります.
ここは元々もろくて,ちょっとしたことで出血してしまいます.
風邪をひけば鼻粘膜が荒れます.鼻いじりをすれば機械的刺激で,すぐに出血してしまいます.鼻の穴から出れば“鼻血”になります.
<鼻血が出たらどうすればいいの?>
半坐位になって,鼻の付け根(メガネがのっかるところ)を,親指と人差指でギュッと押し付けるようにつまんで下さい.5-10分間押さえれば,まず止まります.
10分以内に止血できるものは,心配ありません.
鼻血が出た時や鼻血を止める時には,あごを軽くひいて,顔をうつむきかげんにしてください.
鼻血が外に流れるのを防ぐために,顔を上に向けると,鼻血がのどにまわってむせてしまいます.
鼻の穴にテッシュペーパーを詰めただけでは,止血は期待できません.
流れ出た鼻血を吸わせるためにテッシュペーパーを詰めてもかまいませんが,止血には鼻の付け根を抑える必要があります.
テッシュペーパーに染み込むと出血量が多いように見えますが,実際には少量なので心配ありません.
<どんな時に心配なの?>
(1)鼻血のほかに手足などに出血斑,紫斑のある場合には,特発性血小板減少性紫斑病などの病気が隠れている可能性があるので血液検査が必要です.
ただし,実際に病気があることはまれです.
(2)鼻血が頻回でかつ出血量がものすごく多い場合には,鉄欠乏性貧血を起こすことがありますので,血液検査が必要です.
ただし,実際に鼻血で貧血が起こることはまれです.
私たちの鼻に,花粉やホコリなどが入りこんだ時に,これらの異物を身体の外に流し出そうとして鼻みずが出ます.
ウイルスや細菌などの病原菌が鼻粘膜に感染すると,膿の混じったドロッとした鼻みずになります.鼻みずはズルズルと吸ってはいけません.鼻をかんで外に出してください.
正しい鼻のかみ方を心がけることが大切です.間違った鼻のかみ方をしていると,鼻血が出たり,耳が痛くなったり,時には気管支炎や肺炎などになることがあります.
ムズムズ,ジュルジュル,鼻みずの症状はうっとうしいものです.正しい鼻のかみ方で,上手に鼻みずを出してあげましょう.
<正しい鼻のかみ方=鼻にやさしい方法は>
1.片方ずつかむ:
片方の鼻をきちんと押さえるようにします.
2.鼻をかむ前に口から息を吸う:
鼻みずを押し出すために,空気をたっぷり取り入れます.
3.ゆっくり小刻みにかむ:
あわてず,あせらず,少しずつ,確実にかむことが大切です.
4.強くかみすぎない:
かみにくいときも,一度に力を入れず,少しずつかむようにします.
| 「鼻のかみ方」レッスンのすすめ 鼻をかみ終わった後,手鏡を鼻のすぐ下に鼻の穴と水平になるように当て,鼻から息を「フンッ」と吹き出します.鼻みずが残っていれば,鏡に鼻みずがつきます. 上手にかめているほど,鏡が鼻息で曇る範囲が広くなります. |
<こんなかみ方はいけません=鼻のかみ方NG集>
1.力まかせにかむ:
力まかせに鼻をかむと,鼻血が出たり,耳が痛くなったり,トラブルの原因になります.
2.両方の鼻を一度にかむ:
左右の鼻を一度にかむと,細菌やウイルスが鼻の奥のほうに追いこまれ,副鼻腔炎につながることがあります.
3.中途半端にかむ:
鼻を上手にかめないお子さんの場合には,残った鼻みずのなかで細菌が増え,気管支炎や肺炎につながることがあります.
4.鼻をほじくる:
鼻くそを無理にかき出そうとすると,粘膜を傷つけて鼻血が出たり,そこから細菌が入り込んで感染してしまうことがあります.
| 「鼻すすり」は禁物 鼻みずをすすると,細菌のついた鼻みずが鼻の奥に入ったり,耳にまで達して中耳炎をおこすことがあります. 鼻みずはすすらずに,きちんとかんで外に出しましょう. |
<かさかさ・ヒリヒリ かみ過ぎ後遺症>
・鼻の下がかさかさになって皮がむけてしまった!
・鼻の下が荒れて,真っ赤になってしまった!
・鼻の下がヒリヒリ・ジクジク痛い!
<かみ過ぎ後遺症を避けるために>
1.鼻をかむ時は,できるだけやわらかいティッシュペーパーを使うようにしましょう.
2.鼻みずが鼻の下に残らないように,きちんとぬぐい取り,清潔を心がけましょう.
3.カサカサ・ヒリヒリが気になるからといって,鼻の下をなめたり,指でこすらないようにしましょう.
4.鼻のまわりの皮膚の潤いを保ちましょう.
5.鼻の入り口,鼻の下がただれた場合には外用剤を処方します.
<かぜ?副鼻腔炎?それとも花粉症?>
くしゃみ・鼻みず・鼻づまりなどの症状は,「かぜ」「慢性副鼻腔炎」「花粉症」などが原因で起こります.原因に応じて治療方法が異なるので,きちんと見極めることが大切です.
【かぜ】
鼻の症状:くしゃみ,鼻みず,鼻づまり,においがわかりにくくなる
鼻みずの特徴:多量の鼻みず,水っぽいか少し粘り気がある鼻みず,透明~黄色
同時に現れる症状:発熱,頭痛,せき,全身がだるい,のどや耳の痛み
【慢性副鼻腔炎】
鼻の症状:日常的な鼻づまり,においがわかりにくくなる,ネバネバした鼻みず
鼻みずの特徴:粘り気がある鼻みず,黄色~緑色,悪臭がすることもある
同時に現れる症状:頭痛・頭重感,気管支炎を起こすことがある
【花粉症】
鼻の症状:くしゃみ,水っぽい鼻みず,鼻づまり,鼻のかゆみ
鼻みずの特徴:多量の水っぽい鼻みず
同時に現れる症状:眼,のど,皮膚のかゆみ,のどの奥がぜいぜいすることがある
*自己診断は禁物です.必ず医師の診断をうけましょう.
<耳垢(みみあか)のでき方>
俗に言う「耳の穴」つまり「耳の入口と鼓膜の間」を「外耳道(がいじどう)」と呼びます.
外耳道には「軟骨部」と「骨部」があります.耳の入口側が「軟骨部」,鼓膜側が「骨部」です.「軟骨部」には耳垢腺や皮膚腺があり,分泌物を作ります.
「骨部」は骨の上に薄い皮膚がのっています.
「外耳道」では新しい皮膚が作られ,古くなった皮膚は鼓膜から耳の入口に向かって自然に移動します.
移動した皮膚は「軟骨部」と「骨部」の境界ではがれ落ちます.はがれ落ちた皮膚と「軟骨部」で作られた分泌物が混じり合って「耳垢(みみあか)」になります.
<正しい耳の掃除>
耳垢は耳の入口付近にだけたまります.入口付近の耳垢を綿棒でそっと取り除くだけで十分です.
<間違った耳の掃除>
1.耳の穴の奥の方の「骨部」は薄い皮膚で被われているだけです.大変傷つきやすいので,触らないようにしましょう.
傷がつくと「外耳道炎」になって痛くなります.
→「外耳道炎」になった場合には当院を受診してください.点耳薬を処方します.
2.耳垢は鼓膜から耳の入口へ向かって自然に排出されます.通常は耳の穴をふさぐほどたまることはありません.
耳の入口付近にある耳垢を無理に取ろうとして,綿棒で耳の穴の奥の方に押し込んでいませんか?押し込んでしまうと耳垢が奥の方で固まってしまって,栓になってしまい,耳の穴をふさいでしまうことがあります.これを「耳垢塞栓(じこうそくせん)」と呼びます.
→「耳垢塞栓」になった場合には当院を受診してください.耳垢鉗子で取り除きます.
<耳垢豆知識>
耳垢には,「乾型(かさかさタイプ)」と「湿型(褐色アメ状タイプ)」があります.日本人では「乾型」が85%ですが,欧米人では「湿型」が多数です.