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嘔吐下痢症(はきくだし)

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<嘔吐下痢症とは>
乳幼児は嘔吐下痢症(はきくだし)によくかかります.

ロタウイルス(冬から春),
アデノウイルス(1年中),ノロウイルス(晩秋から冬)
などによって起ります.突然激しく吐き始め,続いて水のような下痢(レモン色〜白色になることもある)になります.
熱が出ることもあります.1週間位でよくなります.

<治療>
(1)くすり:
整腸剤,下痢止め,吐き気止めのおくすりを処方します.
吐き気が強く,内服が困難な場合には,吐き気止めの座薬を処方します.
吐き気止めの座薬は乱用すると錐体外路症状を起こすことがあるので,容量,間隔を守って下さい.
年長児,成人には漢方薬の五苓散を処方する場合があります.

(2)点滴:
吐き続ける時や脱水が強い時には,水分,電解質,糖質を点滴します.

(3)入院:
激しく吐き続ける時,下痢が頻回の時には入院が必要になることがあります.

<家庭での治療>
(1)吐いてすぐは飲むな:
吐き気が強い間は,30分間位は何も飲ませないでください.

(2)まずは水分から:
吐き気がおちついてきたら水分を少しずつ飲ませてください.1回量は少なく,回数を多く飲ませてください.
乳幼児用のイオン飲料(OS-1,アクアライト,ビーンスタークポカリなど)は点滴に近い組成になっています.
成人用スポーツ飲料はこどもには甘過ぎます.水で少し薄めて,塩をぱらぱらとふるとちょうどよい濃度になります.
お茶,ジュースには塩分が含まれていないので,脱水になってしまいます.塩分補給のためにもイオン飲料を上手に利用しましょう.

(3)下痢だけになったら:
便の様子を見ながら少しずつ消化のよい食べ物を与えていきます.
※お風呂:嘔吐がひどいときは控えましょう.ある程度治まれば,下痢があっても入浴はかまいません.
下痢のためにおむつかぶれがひどくなるので,お尻を洗ってあげましょう.

<便が白い,クリーム色になった>
ウイルス性胃腸炎では,しばしば便が白色からクリーム色になりします.豆腐を潰したような白っぽいツブツブが便に混じることもあります.
便が白くなる病気としては,ロタウイルスによる白色便性下痢症が有名ですが,ロタウイルス以外のウイルスでも白色便になることがあるので,白色便性下痢症=ロタウイルスというわけではありません.便が白い場合には,下痢が5-7日間続きます.

<便に血が混じった>
下痢が激しいと腸管粘膜がただれて出血することがあります.肛門が痛んで痔ができて出血することもあります.このほか,病原性大腸菌などによる細菌性腸炎,腸重積などの疾患でも血便は出現します.
便の色に注意していて,血が混じるようなら早めに受診してください.

下痢のときの食べ物(乳児)

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<母乳の場合>
(1)下痢がひどいとき:母乳はそのまま続けてかまいません.授乳を短時間で切りあげて,回数を多くして下さい.1回量が多いと吐いてしまいます.

(2)下痢がよくなってきたら:いつものとおり,欲しがるだけ飲ませてください.

<ミルクの場合
(1)下痢がひどいとき:
少量ずつ,回数を多くして飲ませて下さい.1回量が多いと吐いてしまいます.
便が酸っぱいにおいのする時には,乳糖不耐症(ミルクに含まれる乳糖がおなかで分解できない状態)になっているので,ラクトレスなどの下痢治療乳に切り替えた方がいいでしょう
(乳糖があらかじめ分解されているミルクで,薬局に小さい缶が売っています).

(2)下痢がよくなってきたら:
ミルクをもとの量に戻してください.

<離乳食を食べている場合>
(1)下痢がひどいとき:
無理に離乳食を食べる必要はありません.食べてもおなかに負担になるだけです.母乳,ミルク,乳幼児イオン飲料(OS-1,アクアライト,ビーンスタークポカリなど)を与えて下さい.
このほかには,野菜スープやみそ汁のうわずみ,リンゴのすりおろし汁などを与えて下さい.

(2)下痢がよくなってきたら:
おかゆ,ベビーせんべい,ウエハース,にんじんやかぼちゃの煮つぶし,煮込みうどん,白身魚の煮付け,などを,便の様子を見ながら慎重に与えて下さい.

下痢のときの食べ物(幼児)

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<水分を十分おぎなう>
(1)水分補給が一番大切です.下痢で水分が失われるので水分を摂取する必要があります.水分を多く飲むから水様便になるのではありません.

(2)栄養のことはあまり気にしないで,食欲がないときに無理に食べさせる必要はありません.食欲があっても,むしろ食事は控えめにして腸を休ませてあげましょう.
ポカリスエットなどのスポーツ飲料はお子さんには甘すぎます.水で薄めて,塩をぱらぱらとふるとちょうど良い塩分濃度になります.

下痢の時には水分のみでなく塩分もからだから逃げて行ってしまいます.
水,お茶,甘いジュースには塩分が含まれていないので,これらだけでは塩分不足になってしまいます.乳幼児イオン飲料やスポーツ飲料を上手に利用しましょう.

<何を食べるか,便と相談>
●便が水のようなときは水分を中心に.
●便がドロドロならドロドロの食べ物を.
●便がやわらかい程度ならやわらかい食べ物を.
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《水のような便のとき》
*OS-1,アクアライト,アクアサーナ,番茶,野菜スープ,みそ汁,おもゆ,リンゴのすりおろし,など.

《ドロドロの便のとき》
*とうふ,パンがゆ,ベビーせんべい,ウエハース,バナナの裏ごし,にんじんやかぼちゃの煮つぶし,など.

《やわらかい便のとき》
*おかゆ,うどん,白身魚の煮付け,卵,とりささ身,野菜の煮付け,など.

幼児の便秘

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<うんちは習慣>
毎日きまった時間にうんちをする習慣をつけることが一番大切です.朝食か夕食のあとなど時間を決めて,はじめのうちは便意がなくてもトイレに行かせてみてください.
ただし,叱りつけたり,無理にさせるのは逆効果です.
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<こんな病気には注意>
頑固な便秘が続く場合には,ヒルシュスプルング病(腸管を動かす神経が生まれつきない病気),肛門狭窄などの先天性の消化管の病気があることがまれにあります.

<食事で治す>
繊維分の多い食物をとらせてください.これらの食物を材料にすれば,調理の方法はどのようにしてもかまいません.
生後6カ月から2才くらいまでは便秘がちになります.お野菜をたくさん食べるようになると治りますよ.
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<便秘に有効な繊維性食品>
(1)いも類:さつまいも・さといも・こんにゃく
(2)野菜類:白菜・キャベツ・ピーマン・なす・にら・もやし・きゅうり・ごぼう・人参・大根
(3)豆類/大豆・小豆・おから・納豆
(4)穀類:麦飯・コーンフレーク・ポップコーン・オートミール
(5)果実類:みかん・オレンジ・あんず・乾燥プラム・パイナップル・メロン・プルーン
(6)きのこ類:しいたけ・しめじ・えのき(7)海藻類:わかめ・こんぶ・のり・寒天・ひじき

<グリセリン浣腸>
どうしても便が出ないときは浣腸をします.浣腸が「くせ」になるということはありません.苦しがっていたら迷わずに浣腸をして下さい.
浣腸もしないで便をためると,どんどん腸が太くなって,便秘が治りにくくなります.
習慣性便秘の場合には,グリセリン浣腸を1週間から10日間くらい連日行って,腸をからっぽにする場合もあります.

<下剤>
モニラック,ピアーレなどの緩下剤(便を柔らかくする作用があります)やラキソベロン液,ラキソセリン液(便を出したい時に使用します)などを処方します.

浣腸のしかた

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<綿棒浣腸>
生後半年ぐらいまでは,綿棒による刺激で,だいたい排便があります.

(1)綿棒の先にオリーブ油などの潤滑油をつける.
(2)肛門に浅く(綿の白い部分がかくれるくらい)差し込んで2-3分おく. アップロードファイル 100-2.gif
<グリセリン浣腸>
当院ではグリセリン浣腸(1本30ml)を処方します.1回あたり,1歳未満で10-20ml,1-3歳で20-30mlを,3歳以上で30mlくらいを使用しましょう.残りは捨てて下さい.

(1)キャップをはずし,先端にオリーブ油などの潤滑油をつける.
(2)細い部分がかくれるまで十分に肛門に差し入れる.
(3)ゆっくり注入し,入れ終ったら,おむつやティッシュペーパーで肛門をしばらくおさえ,できるだけ我慢させる.

*浣腸はくせにはならないので,苦しがっていたら迷わずにしてあげてください.
*綿棒浣腸やグリセリン浣腸を使用する前に,下剤を服用するのもいい方法です.

当院ではラキソベロン液,ラキソセリン液を処方するので,ご相談下さい.
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肛門周囲膿瘍

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<肛門周囲膿瘍とは>
肛門のそばにできた赤いおできで,さわると痛がります.黄色い膿(うみ)が出てくることもあります.
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<病因>
赤ちゃんの肛門の内側にはポケットのようなひだがあります.このポケットの中には細菌がたまりやすく,細菌が繁殖すると炎症を起こして肛門周囲膿瘍になってしまいます.普段からおしりの清潔に注意しましょう.

<治療>
(1)抗生剤:

抗生物質を服用して,体の中から細菌を殺します.軽症であれば内服薬で治ります.

(2)漢方薬:
「十全大補湯」には消化管における免疫増強効果があり,肛門周囲膿瘍の再発を防いでくれます.

(3)揉み出す:
膿瘍を揉んで膿みを出します.自宅で実施します.

(4)切る:
膿がたまったら切開して出します.手術が必要な場合には病院を紹介します.

<家庭で気をつけること>
よごれやすい所なので,なかなか治りにくい病気です.治ってもまた再発することがあります.おしりを日に何度も洗って,いつもきれいにしておくことが大切です.
完全に治るのに,短くて2-3週間,長いと数カ月かかることがあります.1歳4カ月くらいになると自然に治癒します.辛抱強く,おしりの手入れ,抗生物質の内服,外用を続けましょう.

肛門周囲膿瘍の揉み出し法

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<肛門周囲膿瘍とは?>
肛門周囲膿瘍は,赤ちゃんの肛門のそばにできる赤い「おでき」で,触ると痛がります.黄色い膿(うみ)が出てくることがあります.
赤ちゃんの肛門の内側にはポケットのようなひだがあります.このポケットには細菌がたまりやすく,細菌が繁殖すると炎症を起こして肛門周囲膿瘍になってしまいます.
肛門を下から見て腹部方向を12時とすると,3時と9時方向,つまり側方発生が多いです.男児に圧倒的に多く,難治性で,何度も繰り返しますが,1歳4カ月頃には自然治癒する傾向があります.
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<治療法は?>
従来から,抗生物質の投与が行われており,軽症の場合には治癒します.再発を繰り返す場合には,予防のために膿瘍の切開,瘻孔解放,瘻孔切除(くり抜き)などの外科的処置が行われて来ました.
しかし,その後に連日の排膿および掻爬を行わなければならず,術後の処置が大変でした.

<新しい治療法=揉み出し法
1歳4カ月頃に治癒するので,ある程度再発をしてもかまわないと考え,近年は「切開」ではなく「排膿」に力点を置いて治療するようになって来ました.
そこで考え出されたのが,「圧迫法」(通称「揉み出し法」)です.

「圧迫法(揉み出し法)」は,膿瘍の表面を2-3mm小切開し,膿瘍と思われるしこり全体をつぶすような感覚で揉みます.お尻全体をつねるようにつまみます.
すると,膿が切開孔あるいは肛門から出てきます.小切開は医療機関で行いますが,「圧迫(揉み出し)」は自宅で家族の方に,1日2-3回実施してもらいます.

「圧迫(揉み出し)」すると赤ちゃんは痛がって泣きますが,膿を放置しておくわけにはいかないので,頑張って実行してください.患部の清潔は必要なので,排便後はぬるま湯でよく洗浄してください.特別の消毒は不要です.
再発したら,また同じように「圧迫法(揉み出し法)」を行います.そうこうしているうちに,自然治癒が期待できる1歳過ぎを迎えます.

1歳を過ぎても再発を繰り返す場合には,手術を考慮します.

<漢方薬>
「圧迫法(揉み出し法)」のほかに最近注目されているのが,「十全大補湯」という漢方薬の内服です.

「十全大補湯」には消化管における免疫増強効果があり,肛門周囲膿瘍の再発を防いでくれます.
「十全大補湯」を赤ちゃんの空腹時つまり哺乳前に,水で練ってまるめて口の中にいれます.排膿が治まってからも2カ月間服用を継続する必要があります.

乳幼児の切れ痔

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<「イボ痔」ではなく「切れ痔」です!>
「イボ痔ができた」といって来院されますが,ほとんどがイボ痔ではなく,「切れ痔の成れの果て」です.
俗に,「見張りイボ」といいますが,医学的にはイボ痔ではありません.
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<症状や所見は?>
(1)女の子の赤ちゃんに多い.
(2)肛門周囲の皮膚の一部がひだ状にもりあがっている.
(3)12時の方向にできることが多い.
(4)今までに,ウンチが硬くなって,肛門が切れて血が出たことがある.

<見通し
(1)外科的手術は必要ありません.
(2)見張りイボが数日で治るということはありません.数カ月から数年は残ります.切れ痔をくり返さなければ,だんだん小さくなって行きます.心配せずに経過観察をしましょう.

<自宅での処置>
(1)まず,便秘にならないようにこころがけましょう.
(2)便秘気味のお子さんは早めに下剤か浣腸を使いましょう.当院で処方します.(3)硬いウンチが出たあとはぬるま湯で肛門をよく洗いましょう.
(4)おむつや便に血がつく,見張りイボがふくらんで大きい場合には,肛門のなかに切れ痔が出来ています.すぐに治療しましょう.当院でポステリザン軟膏などを処方します.

アセトン血性嘔吐症

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<アセトン血性嘔吐症とは?>
正式には「アセトン血性嘔吐症」と呼びます.「自家中毒」と呼ぶ場合もあります.
食中毒とは名前が似ていますが,全く違うものですので,勘違いしないで下さい.アセトン血性嘔吐症は病名というよりも,病態を言い表わす言葉です.

<どうしておこるの?>
嘔吐下痢症(はきくだし),高熱,疲労,ストレスなどが誘因になって,飲食が十分にできず,からだの中から水分と糖分が枯渇してしまい,飢餓になってしまった状態です.

<検査>
尿中ケトン体が陽性になります.通常,人間のからだは炭水化物を分解してエネルギーをつくりますが,アセトン血性嘔吐症では飢餓と同じ状態なので,脂肪や蛋白質を無理矢理に分解して,ケトン体がからだに溜まってしまい,尿中に出てきます.

<治療>
ケトン体がからだに溜まっていると吐き気が強くて食べられません.こうなると点滴で水分を補った方が楽です.水分とブドウ糖の点滴(200-500ml)をすると元気になります.
点滴には2-3時間かかります.早めに連れて来て下さい.

<治るの?>
何度も繰り返すお子さんがいますが,10歳くらいになると自然と治ります.

<ACTH-ADH分泌異常症>
#まれにACTH-ADH分泌異常症という,ちょっとやっかいな病気のこともあります.
あまりにもひどく吐く場合には,ご相談ください

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