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★起立性調節障害
★成長痛
★鉄欠乏性貧血
★こどもの肥満Don't
★リンパ節腫脹
★タバコの煙
★こどもの受動喫煙
★熱中症
★血液型の検査
★漏斗胸
★暮らしのなかの放射線量
★薬物乱用相談窓口
★早発乳房
<起立性調節障害とは>
特別に病気があるわけでもないのに,立ちくらみ,めまい,動悸,頭痛,腹痛,朝起きの不良,午前中ボーとする,乗り物酔い,食欲不振,などが頻回に継続して起こります.
暖かい部屋に入るとクラッとする,朝礼や合唱の練習などで立ち続けると倒れる,なども起立性調節障害の症状です.痩せ形の思春期前から思春期のお子さん(小学校高学年から中学生くらい)に起こり易い傾向があります.
母親が思春期前後に同じような症状があると,子どもに起こり易いことが知られています.親の目からは,覇気がない,しゃきっとしない,なまけものの子どもに見えますが,本人は結構つらいものなのです.
<どうして立ちくらみが起こるのか?>
もともと動物は四つ足でした.四つ足で歩いていれば,心臓と頭の高さは同じです.心臓から出た血液は脳に十分に供給されます.
しかし,人間は2本の手を使うために,立ち上がってしまいました.このためにからだの血液は重力によって下半身に集まってしまい,脳への血液供給が減少してしまいます.これを防ぐために自律神経が働き,下半身の血管を引き締めて脳への血流を増やすのですが,この自律神経の働きが未熟,不十分だと,いわゆる脳貧血の状態になって,立ちくらみなどの症状が起こります.
<どんな時に起こりやすいのか?>
自律神経のバランスが乱れると症状が出現します.風邪をひいて体調がすぐれない時,夜更かしをして寝不足の時,精神的ストレスのある時,新学期で新しい生活が始まる4月,ほわっと暖かくなる6月,夏休みあけの9月,などに具合が悪くことが多いようです.
<家庭で気をつけること>
規律正しい生活をすることです.夜ふかしをしない,朝ごはんをきちんと食べることが大切です.
<治療>
症状が強い時には薬を飲みましょう.当院では立ちくらみなどの大症状にはメトリジン,頭痛などの小症状にはグランダキシン等を処方します.ご本人の症状によりお薬を選びます.ご相談下さい.
<将来>
8割の人は思春期過ぎに軽快しますが,2割の人は成人期まで持ち越します.
<成長痛とは?>
子どもは膝や足が痛いとよく訴えます.痛みはさまざまですが,夜になると足を痛がることが多いようです.診察をしても特別な病気がないものを「成長痛」と言います.成長期に原因が明らかでない痛みがあるので,「成長痛」と名付けられました.
<痛みの原因>
育ち盛りの子どもは,筋肉,骨,関節が未完成,未成熟ですが.かなり活発に動き廻ります.
からだが出来上がってないのに,動きが激しいので,筋肉,骨,関節に疲れが溜まり,ひずみが生じて,痛みの原因になるようです.骨の成長とは直接は関係ありません.
<治療>
暖めたり,湿布をしたり,お風呂でマッサージをするのがよいでしょう.眠れないくらいに痛みが強いこともたまにあるので,こうした時には痛み止めを服用するのがよいでしょう.一般的な解熱鎮痛剤で効果があります.御相談ください.必要があれば当院で処方します.
<痛みがくり返すときは>
ごくまれですが,特別な病気が隠れていたり,病気の前兆だったりすることがあります.成長痛と言われていたのに,白血病だった,神経芽細胞腫だった,若年性関節リウマチだった,ということがあります.
これらの病気は,ごく初期にはたとえ検査をしても最終診断に至らず.数カ月,数年の経過ののちに病気自体が表に出て来て,やっと診断がつくことがあります.
例えば,以下のような症例を実際に私は経験しています.
(1)10歳男児,2-3年間成長痛と言われていました.血液検査では確かに異常はありませんでした.ところが,ある日血液検査をしたら,異常細胞があることが判明しました.小児科に紹介されて,最終診断は急性骨髄性白血病でした.
(2)3歳女児,夜になると足が痛いと繰り返していました.血液検査をしてもレントゲン検査をしても異常はありませんでした.痛みが続くため,数カ月後小児科に紹介されて来ましたが,最終診断は神経芽細胞腫でした.
(3)7歳女児,手や足がしきりに痛いと言います.検査をしても異常はありませんでした.数カ月後,関節が腫れて来ました.小児科に紹介されて,最終診断は若年性関節リウマチでした.
痛みがくり返すときは,何度でも相談してください.何度も診察しているうちに特別な病気が見つかることがあります.血液検査,レントゲン検査などが必要な場合があります.
<鉄欠乏性貧血とは?>
体の中の鉄分は赤血球(酸素を運ぶ役目がある)をつくるときの大切な材料です.鉄分が不足すると赤血球を造れなくなって,貧血になります.乳児期後半や思春期(とくに女子)はからだの成長が著しく,鉄不足になりやすいので,この年齢層のお子さんは鉄欠乏性貧血に注意が必要です.
<症状>
思春期のお子さんでは,貧血がひどくなると,動悸,息切れ,顔色が悪いなどの症状が出ます.しかし,ほとんどの場合,血液検査で貧血が偶然発見されます.
<食べ物で治す>
日頃から,鉄分を多く含む食物を毎日食べるようにしましょう.
○鉄分を多く含む食品
レバー,赤身の肉,魚肉(おさしみ),しらすぼし,しじみ,大豆,ほうれんそう,のり,とろろこんぶ
○鉄分の吸収をよくする食品
ビタミンCを多く含む果物,野菜
●鉄分の吸収を悪くする食品
お茶をたくさん飲むのは避けましょう.即席メンやスナック菓子は,偏食やムラ食いのもとなので,止めましょう.
<くすりで治す>
食べ物だけでは不十分なことが多いので,3カ月間,鉄剤を飲みます.鉄剤に味のよいものはありません.いろいろ工夫をして飲ませてください.
便が黒っぽくなりますが,気にしないで下さい.通常は,鉄剤を飲む前,飲み始めてから1カ月目,飲み終わりの3カ月目に血液検査をします.
その後,鉄剤を飲むのを一旦中止して,1-2カ月したら,もう1度血液検査をします.鉄剤を服用しなくても貧血の再発がないことを確認して,治療が終了になります.
1.今は太っているけど,大きくなれば自然と痩せるから,放っておいても大丈夫→×
(知らないうちに太ることはあっても,痩せることはありません.)
2.こどものうちに太っていても,大人になって痩せれば大丈夫→×
(思春期を過ぎてから痩せようと思ってもからだが出来上がっているので痩せられません.)
3.くだものは健康的なのでいくら食べても大丈夫→×
(くだものには果糖がたっぷり含まれているのでカロリーが高いです.)
4.たくさん食べても運動をたっぷりしているから大丈夫→×
(運動で消費できるエネルギーなんか僅かです.)
5.親も太っていたけど成人になったらスマートになったから,この子も大丈夫→×
(自動販売機,おやつ,外食産業などこどもを取り巻く環境が昔とは全然違います.)
6.スポーツドリンクは健康的だからいくら飲んでも大丈夫→×
(スポーツドリンクも結構カロリーがあります.)
7.牛乳はだくさん飲めば飲むほどよい→×
(牛乳は1日400mlで十分,飲み過ぎは肥満,高脂血症,貧血になります.)
8.肉も魚も同じ蛋白質だから,どちらを食べてもかまわない→×
(魚の方が低カロリーで,とくに青魚は高脂血症を防いでくれます.)
9.水の飲み過ぎで太ることがある→×
(水はカロリーがゼロなので,たくさん飲んでもおしっこになるだけです.)
10.祖父母が孫かわいさにおやつを余計をくれるのはしょうがない→×
(戦中派は幼少期に食べ物がなかったので,食に対する執着が特別です.祖父母の無理解がこどもの肥満を解消するうえで,最大の障害です.)
11.夏休みは外で遊ぶし,汗をかくので,少し余計に食べても大丈夫→×
(夏休みはおやつの量,外食の機会が増えるので,1年でもっとも太りやすい季節です.)
12.安くてボリュームがあるから外食は便利だ→×
(安価で高カロリー,高塩分でお客さんを釣るのが外食産業です.注意,注意.)
13.朝御飯を食べないと摂取カロリーが少なくてすむから肥満にならない→×
(不健康この上なし,朝飯食わなきゃ腹に力が入らない.)
14.いつも冷蔵庫にペットボトルが入れてあって水代わりに飲む→×
(ジュース類を常備するのはやめて下さい.麦茶,ウーロン茶にチェンジ.)
15.親も太っているから,この子が太っていても仕方がない→×
(肥満は遺伝素因と環境因子の両者がそろわないと起こりません.)
16.あんまり食べていないのに,この子は太る→×
(食べているから太ります.過剰なカロリーをとっているから太ります.)
17.そのうち背が伸びればスマートになるから,太っていても大丈夫→×
(そう思っていると,縦も横もいっしょに大きくなって,肥満が出来上がります.)
18.糖尿病の家系だけれど,子どものうちは太っていても成人になって気を付ければ大丈夫→×
(一生のうちに使うことのできるインスリンの量は決まっています.家系にあれば要注意.)
19.心筋梗塞や脳梗塞の家系だけれど,成人になってから気を付ければ大丈夫→×
(動脈硬化は小児期から始まっています.家系にあれば要注意.)
お相撲さん=肥満ではありませんネ.筋肉質のお相撲さんもいます.
お相撲さんは太っていないと商売になりません,だから,太る必要があるのです.
う~ん,でも,お相撲さんに本気でなる気がないのであれば,太る必要はありません.だって,からだに悪いもん.
<リンパ節とは>
リンパ節は,リンパ球と言う免疫を担当する細胞が集まって出来ている器官で,体の中に無数にあります.首,頭,腋のした,股間のリンパ節は比較的表面にあるので,正常でも触れる事があります.痩せ形のお子さん,リンパ組織の発達する5-7歳頃のお子さん,気管支喘息やアトピ−性皮膚炎などのアレルギー疾患を持っているお子さんでは,特別病気がなくてもリンパ節が触れやすいです.
<リンパ節が腫れる時>
リンパ節は様々な理由で腫れます.
(1)風邪を引いた時や,熱が出た時には,リンパ球の作用により,体の抵抗力が一時的に上がるのですが,この時にリンパ節が一時的に大きくなります.通常,3-7日間で自然に消退します.
(2)虫歯,扁桃炎,咽頭炎などから細菌がリンパ節の中に侵入すると,化膿性リンパ節炎が起ります.リンパ節が腫れて赤味を持ち,直径3-5cmくらいになることもあります.触ると痛みを伴うのが特徴です.抗生物質の投与が必要になります.ブヨブヨになった場合には,切開排膿をすることがあります.
(3)悪性リンパ腫では,最初小さかったリンパ節が数日から数週間で大きくなって来ます.ゴツゴツして,硬く,周辺組織と癒着して来ます.
<気を付けること>
正常のリンパ節,上記の(1)や,(2)の治療後のリンパ節腫脹は自然に縮小します.非常にまれですが,(3)の悪性リンパ腫のように腫瘍性のものは,比較的短期間のうちに大きくなって行きます.腫瘍性のものであっても,当初は診察しただけでは正常のものと区別が出来ないことがあります.
大きくなってくるようなら,必ず受診して下さい.
<タバコの害>
タバコが健康にとって害があることは,疫学調査により明らかです.非喫煙者の疾病罹患リスクを1とした場合,喫煙者では肺がんは4.5倍,喉頭がんは32.5倍,食道がんは2.2倍,虚血性心疾患は1.7倍,肺気腫は2.2倍になります.夫が喫煙者の場合,受動喫煙による妻の肺がんの罹患リスクは1.9倍になります.
タバコは健康被害だけでなく,火事のリスク,人間関係や職業機会の損失などを引き起こし,これらを合計すると,喫煙者は一生の間に6000万円損をします
<子どもへの影響>
親の喫煙により子どもの気管支喘息の有病率が1.8-2.8倍になり,肺炎や気管支炎になりやすいと報告されています.
タバコを吸う家庭に育った子どもは,成人した後に,肺癌になる危険度が増すと言われています.
小児科医は子どものしつこい咳や喘息発作の原因が親のタバコにあったという例にしばしば遭遇します.母体がタバコを喫うと,児の子宮内発育不全が生じ,先天奇形の発症率が高くなり,低出生体重児が生まれ,その児が成人期以後高血圧になることが報告されています.喫煙により次世代にも悪影響を及ぼします.
<なぜ禁煙できないか>
喫煙習慣はなかなか止められません.何故か?最近の研究により喫煙者はニコチン中毒の状態にあり,薬物依存症というりっぱな病気であることが明らかにされました(麻薬中毒と同じです).
<欧米では>
日本を除く欧米先進国では,啓蒙活動により,グングンと喫煙率が下がっています.先進国ではテレビで禁煙の啓蒙CMが放映されることがあっても,タバコの販売促進CMが流れることは皆無です.タバコの自動販売機はありませんし,公共の場(駅,空港,公園,球場,道路など)で喫煙者を見かけることはありません.
<モラル>
「他人に迷惑を掛けない」これは人間生活の基本です.喫煙者は受動喫煙を他人に強いる,吸い殻のポイ捨てをする,健康被害を起こして医療保険を浪費する,などなど,非喫煙者,自分の家族,社会全体に多大な迷惑を無自覚に掛けています.
喫煙者だけで社会が構成されていれば,喫煙に伴う社会的損失は喫煙者の中で完結します.しかし,世の中には喫煙者よりも多数の非喫煙者が存在します.喫煙は自分の健康を害するだけなく,社会全体に多大な損失をもたらします.
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<国際肺癌学会「禁煙」東京宣言,IASLC 2000 Tokyo Declaration on Tobacco>
肺癌は世界で癌死の最も高いものである.男女共にその発癌発病率の急増は警鐘を鳴らす状況にある.肺癌の9割は喫煙及び受動喫煙によるものであり,そのため予防可能なものと言える.喫煙はその他の多くの癌,循環器系疾患及び慢性肺疾患の主な原因ともなる.子供の喫煙によるニコチン中毒は世界的な流行病であり,速やかな対応を必要とする.禁煙は肺癌発生の抑止と,高騰する医療費の抑制を計る最良の方法であり,ひいては世界人類の公衆衛生の向上と豊かな生活を成就することができる.これらの目的を達成するために国際肺癌学会(IASLC)は下記の事項を宣言する.
記
1.政府に対し,
(1)子供の喫煙によるニコチン中毒を防止するための新しい方法の開発
(2)分煙などによる非喫煙者の保護のための公共施設・交通機関内での禁煙
(3)政府広報・公共広告を通して,喫煙の害・禁煙の啓蒙
(4)禁煙を目的としたタバコ税の増額
(5)喫煙者に関わる医療費の一部自己負担制の新設
(6)初等中等教育での禁煙教育を行うための法令整備,行政指導,予算措置を要望する.
2.医学会や医療機関に対し,禁煙運動と禁煙教育への協力支援を依頼する.
3.医療関係者に対し,禁煙のためのカウンセリング技術の習得を要請する.
4.産業界・メディアに対し,タバコの広告宣伝及びセールス活動を廃止するように要請する.
5.国際肺癌学会は,肺癌に関する資料を公共のために提供する.
この宣言は2000年9月14日に発効する.国際肺癌学会(International Association for the Study on Lung Cancer)
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<禁煙テープ>
禁煙をしたいがうまくいかない,何度も失敗している人には,「禁煙テープ(ニコチネルTTS)」をお勧めします.ニコチン含有テープで,皮膚に貼ってニコチンを経皮吸収させます.次第にニコチン含有量の少ないテープにしていき,8週間でニコチンから離脱するというものです.
<どこで手に入れることができるか?費用は?>
医師の処方箋が必要です.保険診療が認められる場合もあります,全額自費の場合には.診察料+処方箋料が3510円,薬剤料が1クール8週間で24108円です.
<禁煙テープ(ニコチネルTTS)使用法>
ニコチネルTTS30 1日1回皮膚に貼る 4週間↓
ニコチネルTTS20 1日1回皮膚に貼る 2週間↓
ニコチネルTTS10 1日1回皮膚に貼る 2週間(終了!!)
(*詳しい使用方法はニコチネルTTSの説明書をお読み下さい.調剤薬局にあります.)
日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会
1.受動喫煙とは
たばこの煙には,先端から立ち上がる副流煙,喫煙者の吐き出す煙があります.こどもの喫煙のほとんどは,これらを吸う受動喫煙です.こどもの受動喫煙で,気道アレルギーが悪化して,ぜんそくが治りにくくなり,乳幼児突然死症候群(SIDS)が増えるなどの健康影響が報告されています.
2.たばこの煙の性質
たばこの煙は直径1ミクロン以下の非常に小さな粒子です.あまりに小さいため,気流とともに浮遊します.粒子は活性炭や繊維製品,肺,など微小な空間を通る時に多く吸着されますが,壁や天井など平坦な表面にはあまり沈着しません.
閉鎖された室内では,たばこの煙は数分後には部屋全体に広がって薄められ,見えなくなります.しかし,沈着はごく一部だけで,粒子の大半は長時間にわたって空気中に滞留しています.従って,短時間に室内空気を清浄にするには,気流ごと,たばこの煙を室外に出す,つまり窓を開けて換気するのが最も効果的です.
3.こどもの受動喫煙
こどもの受動喫煙といえば,家族が吸っているたばこの煙を直接,吸い込むことだけを考えがちです.その結果,こどもの前でたばこを吸わなければ受動喫煙を減らされると誤解されています.しかし,受動喫煙の大半は,室内空気中に滞留している,たばこの煙を知らず知らずに,長時間にわたって吸うことによって起きています.閉め切った部屋では,目に見えず,煙たさを感じなくても,たばこの煙は空気中に滞留しています.とくに今日の住宅はエネルギーの節約のため気密性が高く,この状態が長く続きます.こどもが家に帰ってきて,こうした部屋で数時間過ごしたとすると,直接,喫煙者の側にいてたばこの煙を吸ったのと同じ,場合によってはその何倍もの煙を吸うことになります.
こどもの受動喫煙への影響は,他の家族よりも母親の喫煙が大きいとの調査結果があります.母親は家庭内にいる時間が長いため,と考えられます.また,こどもが不在の時に吸うたばこの煙に注意が行かず,閉め切ったままでこどもを迎えることも,子どもの受動喫煙量を増やしています.
4.こどもの受動喫煙を減らすための提言
受動喫煙を減らすには家族の禁煙に越したことはありません.しかし,それができなくても,たばこの煙の性質や家庭の喫煙状況から,こどもの受動喫煙を減らすことができます.私たちは,次の2点を国民の皆さんに提言します.(1)受動喫煙を避けるため,こどものいる家庭では,たばこは室内で吸わず,屋外で吸うようにしましょう.(2)室内で吸った場合,必ず,窓を開けて換気しましょう.とくに対面する2カ所の窓を開けて自然換気するのが効果的です.
<熱中症とは?>
暑い日は「熱中症」に十分注意してください.重症度や症状によって,
(1)熱けいれん,(2)熱疲労,(3)熱射病の3つの病型に分類されます.
<病型>
(1)熱けいれん
熱中症のなか最も多い症状です.高温環境下で長時間の激しい運動により,大量に発汗したのに,ナトリウムの補給が不十分だと起こります.運動時や休息時に,突然,下肢(ふくらはぎが多い)の筋肉がけいれんを起こして,痛くなります.下肢だけでなく,腹部の筋肉がけいれんを起こすこともあります.意識,脈拍,呼吸数などは正常です.体温調節能は保たれており,体温は正常かやや上昇します.
(2)熱疲労高温環境下で激しい運動により,大量の汗をかき,血管内から水分やナトリウムが喪失してしまいます.症状は徐々に起こり,脱水,頭痛,めまい,筋肉痛,嘔吐,過換気,低血圧,頻脈が起こります.意識は保たれていますが,ボーとすることがあります.体温調節能は保たれており,体温は正常かやや上昇しますが,40℃を越えることはありません.
熱疲労は,脱水性熱疲労(発汗で失われた水分とナトリウムが補給されない場合)と塩分喪失性熱疲労(水分だけが補給され,塩分が補給されない場合)に分類されます.
(3)熱射病
熱射病は熱中症のなかで最も重症な病型で,生命にかかわります.
高温多湿,無風の環境下で,過度の運動や労働によって,熱産生量が熱放散量を上まわり,体温の自動調節能が破綻することにより発症します.一度体温の自動調節能が失われると,急速に体温が上昇します.
症状は,高度の発熱(41-43℃),脱水,中枢神経障害(昏迷,昏睡,けいれん)が3大特徴です.多くの場合,発汗が停止しています.
熱射病は,合併症として,低血圧,肺水腫,血液凝固異常,肝不全,脳浮腫,脳出血,腎不全などを起こします.
熱射病は,古典的熱射病(老年者,乳幼児などに多く,発汗停止,意識障害,虚脱に陥る)と努力性熱射病(健康な若者に多く,高温多湿環境下での過度の運動,労作業により起こり,発汗が認められる場合もある)に分類されます.
<治療>
(1)熱けいれん特別な治療は必要ありませんが,涼しい所,クーラーのある部屋で安静にし,スポーツドリンクなどの塩分を含む飲み物を取らせてください.
(2)熱疲労衣服を脱がせ,涼しい所,クーラーのある部屋で安静にし,スポーツドリンクなどの塩分を含む飲み物を取らせてください.経口摂取が出来ない場合には,点滴が必要になります.
(3)熱射病直ちに入院が必要です.
<予防>
なんといっても,予防が大切です.おもな予防法を下記に列挙しました.
(1)乳幼児を厚着にしない,乳幼児を車内に放置しない.
(2)炎天下での長時間の過激な運動はしない(せいぜい1-2時間が限度でしょう).
(3)木陰などで十分な休息を取る,帽子や日傘を使用する.
(4)運動,労作業前には,あらかじめ最低500ml程度のスポーツ飲料を摂取しておく.
(5)運動,労作業の開始後はまめにスポーツ飲料を摂取する(水,お茶類にはナトリウムなどの塩類が含まれていないので不適当です.スポーツ飲料のなかでも糖分が多く塩類が少なめのものは不適当です.表示を御覧ください.).
(6)尿が十分に出るくらいに水分,塩類を補給する.
(7)汗をまめに拭き取る,シャツをまめにかえる.
(8)冷たいタオル,冷凍したパック入りスポーツ飲料を用意しておいて,腋のしたや首すじなど血流の多いところにあてる.
(9)涼しい風にあたる,うちわや扇子であおぐ.
(10)筋肉がピクピクしたり,頭がボーとしたり,疲労を感じたら,(勇気をもって)途中でリタイアする.
<血液型は日常生活には不要!>
保育所や学校に入園入学をする際に,書類や名札の裏面などに「血液型」の記入欄があることがあります.3-4月には「血液型の検査をして欲しい.」という御依頼が数多くあります.
はてさて,血液型は知っていなくてはならないのでしょうか?
<血液型を知っていてもメリットはありません!>
大きな事故や病気で輸血が必要な場合には,輸血をする直前に必ず血液型を調べます.本人が「私はA型です.」,家族が「この子はAB型です.」と言っても,その言葉を信じてそのまま輸血することはありません.
自己申告した血液型が間違っていれば命取りになりかねないので,輸血を受ける人の血液型(ABO式,Rh式)をその場で検査をし,さらにクロスマッチ(輸血用血液と患者血液の交叉試験)をして,ようやく輸血が開始されます.前もって血液型を知っておく必要は医療上全くありません.
<血液型を知らないのが普通なんです!>
必要もないのに痛い思いをするのでは,子どもがかわいそうです.「血液型」の欄は空欄のままにして,「血液型は調べたことがありません.」と堂々と言って書類を提出してください.血液型を知る機会がなかったということは,大きな事故や病気をせずに元気に育ったという証です.少しも恥ずかしいことではありません.
<血液型が役に立つのは占いだけ!>
血液型を知っていて便利なのは「血液型占い」の時だけです.医学的には「血液型」が性格を左右する,人格形成に影響を与えることはありません.
<どうしても知りたい場合には>
「血液型」を知りたければ,病気で血液検査の必要が生じた時に,ついでに血液型を調べればよいと思います.その時には検査前に一言声をかけてください.
「血液型」の検査は保険適用がないので,血液検査といっても「血液型」は検査しません.「血液型」の検査は自費扱いになります.
1歳未満では母体免疫の残存のために「血液型」を正確に判定できないので,1歳以後に検査を受けてください.