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日本脳炎ワクチンの取り扱いの変更

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日本脳炎ワクチンの接種年齢は,1期(3回)が生後6カ月以上7歳6カ月未満,2期(1回)が9歳以上13歳未満と定められています.標準的接種スケジュールは,3歳で1期初回2回,4歳で1期追加1回,9歳で2期1回です.

2005年5月,「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」の接種後に重症の急性散在性脳脊髄炎患者の発生があったことから,厚生労働省は市町村に対して接種の積極的な勧奨を差し控えるように通知をしました.その後,接種率は大きく低下しました.勧奨中止から約5年が経過し,5学年分の未接種者が存在しています.2005年の3歳児,4歳児,9歳児は,2010年にはそれぞれ8歳,9歳,14歳になっています.

2009年6月に,乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン「ジェービックV」が発売されました.それ以降,1期は「ジェービックV」と「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」,2期は「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」が公費負担による接種で使用可能になりました.しかし,2010年3月に「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」の在庫が枯渇してしまい,公費負担で接種を受けられるのは「ジェービックV」を使用しての1期のみという状態が続いていました.

2005年5月以降,市町村による勧奨は中止になりましたが,制度そのものは継続しており,接種が全面的に中止になったわけではありません.従って,事情を知っている希望者にはこの間も接種が行われて来ました.

2010年4月,3歳児に対する1期初回2回についてのみ,市町村による積極的勧奨が再開されました.

2010年8月27日,厚生労働省は予防接種実施規則の一部を改正し,2期に接種可能なワクチンとして乾燥細胞培養日脳ワクチンを追加,従来のマウス脳由来日本脳炎ワクチンを削除,さらに当分の間1期の不足分の回数を,2期の期間中に接種可能としました(官報第5385号).

この改正により,1期(初回2回+追加1回,生後6カ月以上7歳6カ月未満),2期(1回,9歳以上13歳未満)ともに乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが使用可能になりました.さらに,1期を全く接種していない場合には残り3回を,1期を1回接種した場合には残り2回を,1期を2回接種した場合には残り1回を,2期の期間中に接種を受けることができるようになりました.

ただし,以下の2点に注意が必要です.

(1)1期と2期の狭間の年齢(7歳6カ月以上9歳未満)は,これまで通り定期接種の対象外です.この期間に接種を受ける場合には公費負担を受けられず,自費になります.

(2)市町村による積極的勧奨の対象は,3歳児に対する1期初回2回についてのみです.1期追加,2期は積極的勧奨の対象ではないので,市町村から接種勧奨の個別通知は来ません.接種漏れがある場合にも,接種勧奨の個別通知は来ません.(ただし,市町村によっては簡単な案内を出す場合もあるようです.)積極的勧奨を3歳児に限定している理由は,多数蓄積されている接種漏れ者が一斉に接種を受ける事態になればワクチンが不足する可能性があるからです.現在は,1期追加,2期および接種漏れがある場合には,気付いた人だけが接種を受ける機会を得るという状態です.

母子手帳の予防接種欄の日本脳炎ワクチンの箇所をチェックしてください.当該年齢を過ぎているのに空欄がある場合には,接種漏れです.ワクチンの供給不足は現時点では起きていませんが,今後どうなるかは不明です.早目に接種を受けてください.

喘息発作と気象

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今夏は猛暑で,連日30℃を越しています.お盆を過ぎても暑いままで, 9月中旬まで続くようです.

気管支喘息の発作が気候の安定する真夏や真冬に少なく,春や秋などの季節の変わり目とくに梅雨や秋雨の頃に多いことは,従来からよく知られています.小児や若年成人では,秋が喘息発作の最も多い季節です.移動性高気圧や台風などの低気圧が行ったり来たりする時や,寒冷前線が通過する時に,喘息発作が多発することは,臨床現場でしばしば経験されることです.喘息の発作と気象は密接な関係があります.

喘息発作に関係する気象因子としては,気温,湿度,気圧があげられます.これらのうち喘息の悪化因子として最も重要なものは,急激な気温の変化です.前日に比べ3-5℃以上平均気温が低下した日や,数時間以内に3℃以上の気温の低下があった場合には,喘息発作が起こりやすいことが知られています.湿度や気圧の直接的な作用については一定の見解は得られていません.

気象因子の間接的な作用としては,気象変化に伴うハウスダストなどのアレルゲンの飛散や浮遊,高温や多湿によるダニやカビの繁殖,心理ストレスなどがあります.

従来,夏には喘息発作は少なかったのですが,最近は冷房の普及により喘息の増悪が認められる場合があります.冷気による気道収縮により喘息発作が誘発されることがあるので,冷房の効き過ぎには注意しましょう.

例年,7月から9月初旬までは喘息発作が少なく,秋分の日を過ぎた頃から発作が多発します.ところが,今年はお盆明けから喘息発作を起こして来院するお子さんが増えています.最高気温は30℃以上で猛烈な暑さですが,朝晩の気温がお盆前に比べ少し下がったために,気温の日較差が大きくなったためと考えられます.

秋を迎え気温がガクンと下がると,喘息発作が急増します.発作を起こさないためには,ロイコトリエン受容体拮抗剤(商品名:オノン,シングレア,キプレス)の服用や吸入ステロイド(同:アドレア,フルタイド,パルミコート,キュバールなど)の使用を非発作時から励行し,気道の炎症を抑制して気道過敏性を改善しておく必要があります.

季節はずれのRSウイルス感染症流行中

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2010年8月,当院周辺ではRSウイルス感染症が流行しています.「RSウイルスは毎年11月から翌年の5月頃まで流行し,そのピークは1月から2月である.」と教科書的には記載されています.新潟県では例年11-12月に流行することが多く,通常真夏に流行することはありません.

RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は,呼吸器感染症を引き起こす代表的な病原ウイルスのひとつです.RSウイルス感染症はすべての年齢層で起こり,生涯に何度でも感染を繰り返します.RSウイルスは喉から容易に気管支や肺へ感染が波及します.小児とくに乳児や若年幼児,あるいは心臓や肺に基礎疾患を持つ小児や成人では重症化しやすく,注意が必要です.

RSウイルスは抗原性の違いによりA株とB株に2大別され,A株とB株が交互に流行する傾向を示します.RSウイルスは頻繁に遺伝子変異を起こします.このため母親由来の移行抗体は感染防御に不十分で,生後半年以内の乳児でも罹患してしまいます.毎年流行を繰り返し生涯に何度でも罹患してしまうのも,同じ理由によります.

RSウイルス感染症の潜伏期間は2-8日と幅がありますが,多くは4-6日です.主要な感染経路は,接触感染です.RSウイルスを含む鼻汁や唾液に汚染された器物に触れることでウイルスが手に付着し,その手で目や鼻をこすることで感染が成立します.ウイルスは鼻や喉の粘膜で増殖し,やがて気管支や肺に感染が拡大します.生後2歳までに,ほとんどの乳幼児が感染します.多くは家族内感染で,兄姉からの感染が多いです.

RSウイルスは,上気道炎,喉頭炎,気管支炎,細気管支炎,肺炎,無気肺などを起こします.初感染乳幼児の7割は,上気道症状のみで数日のうちに軽快します.一方,残りの3割は,咳や鼻汁などの初期症状から2-3日後に咳がひどくなり,細気管支炎や肺炎などの下気道炎を起こします.

RSウイルスによる下気道炎の大多数は,3歳未満の乳幼児に起ります.感染初期には38℃以上の発熱を呈し,2-7日間続きます.気管支から細気管支に炎症が拡大すると,胸がゼイゼイし,激しい喘鳴や陥没呼吸が起ります.呼吸困難に陥り,人工呼吸管理を要する重症例もみられます.とくに低出生体重児,先天性心疾患や慢性肺疾患を持つ乳幼児では,重症化する傾向を示します.喘鳴が強い場合,呼吸器症状が急激に悪化する場合,基礎疾患を持つ場合には,入院が必要になります.

RSウイルスの合併症としては,中耳炎がよく知られており,とくに乳児で多く認められます.

RSウイルスの迅速診断キットがありますが,保険適用は入院例のみです.

RSウイルスを直接治療する薬剤はありません.対症療法により軽快,治癒を待ちます.

RSウイルスの感染予防を目的に,抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体「シナジス」が用いられる場合があります.対象は,(1)在胎期間28週以下の早産で,12カ月齢以下の新生児及び乳児,(2)在胎期間29-35週の早産で,6カ月齢以下の新生児及び乳児,(3)過去6カ月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた24カ月齢以下の新生児,乳児及び幼児,(4)24カ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児,乳児及び幼児,に限定されています.

流行性耳下腺炎について最近の話題

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2010年春先から,当院周辺では流行性耳下腺炎(おたふくかぜ,ムンプス)の患者発生が続いています.日本では,流行性耳下腺炎ワクチンは任意接種のため接種率が30%程度と低く,4年ごとに流行しています.流行性耳下腺炎について,最近の話題は以下の3つです.

(1)アメリカ合衆国では2007年に,流行性耳下腺炎の休園休校期間を9日間から5日間に短縮しました.最近の分子疫学研究から,耳下腺炎発症後4日を経過すると唾液中のウイルス量が急速に減少し,耳下腺腫脹後5日を超えると感染するリスクが低下します.日本で行われた研究でも,耳下腺腫脹後6日を過ぎればウイルスは分離されませんでした.

(2)難聴は流行性耳下腺炎の神経合併症の1つで,予後が不良です.ウイルスが内耳有毛細胞に感染して発症します.多くは,片側のみが障害を受けます.難聴の頻度は,以前は20000人に1人と言われていましたが,最近の日本の調査では400-700人に1人と比較的頻度の高い合併症であることが示されています.小児では耳下腺腫脹が治ってから難聴に気づくことが多く,その時点で聴力の回復は困難であり,補聴器により聴力を高めることも不可能です.

(3)流行性耳下腺炎の神経合併症としては無菌性髄膜炎が有名ですが,脳炎も起こります.流行性耳下腺炎による脳炎では,中脳水道が狭窄し水頭症を合併します.発症頻度は400-5000人に1人です.最近行われた日本における脳炎・脳症全国調査によると,流行性耳下腺炎による脳炎の割合は,脳炎・脳症全体の3%でした.インフルエンザ脳症(23%),HHV-6,7(突発性発疹)脳症(10%),ロタウイルス関連脳症(4%)に次ぎ,マイコプラズマ脳炎・脳症(3%)とともに第4位でした.流行性耳下腺炎による脳炎では発症時にMRI上の異常は認めにくいですが,脳波異常の頻度が高いという特徴があります.死亡率が7%,後遺症率が28%と予後不良です.

流行性耳下腺炎はワクチンにより予防が可能な疾患です.日本における出生数が100万人/年,ワクチン接種率が30%,感染して発症する率が70%と仮定すると,少なく見積もって難聴は約500人/年,脳炎は約80人/年発症しています.これらの合併症を防ぐ唯一の方法はワクチン接種です.

流行性耳下腺炎ワクチンの定期接種化について調査したところ,先進国では実施が26カ国,未実施が1カ月,新興国では実施が25カ国,未実施が2カ国,途上国では実施が58カ国,未実施が30カ国,極貧国では実施が0カ国,未実施が50カ国でした.先進国で未実施の1カ国は「日本」です.定期接種を実施している109カ月のうち,89カ国は2回接種を,20カ国が1回接種を行っています.

本文をお読みいただければ,日本で流行性耳下腺炎ワクチンが定期接種化されていないことが,いかに異常なことであるかご理解いただけると思います.

是非,流行性耳下腺炎ワクチンの接種を受けてください.

(日本小児保健協会予防接種・感染症委員会「予防接種レター,第46号」より引用抜粋)

インフルエンザワクチン先行き不透明

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先般「ぞうさん通信2010.6.29」でお知らせしましたが,2010-11シーズンはインフルエンザワクチンの小児への接種量が増量される見込みでした.従来,1回の接種につき1歳未満には0.1ml,1-6歳未満には0.2ml,6-13歳未満には0.3mlを2回接種していましたが,効果が低くなる場合があると指摘されていました.HHOの推奨する用量は,1回の接種につき3歳未満には0.25ml,3-13歳未満には0.5mlを2回接種です.独立病院法人国立病院機構がこの用量による臨床試験を全国の8医療機関で実施し,既に効果が確認されています.これを受けて,日本国内のワクチンメーカー4社は,2010年4月に接種量の変更申請を行いました.

ところが,2010年7月7日,厚生労働省医薬食品局審査管理課からワクチンメーカー4社が呼び出しを受け,今シーズンの小児への接種量の変更承認は行わない旨の口頭連絡があったそうです.承認を見合わせる理由などの詳細については,別途文書で連絡されるようです.

接種量変更が当初の予定通り行われた場合には,13歳未満の小児におけるインフルエンザワクチン必要量は前シーズンの約2倍になる見込みでした.当院で試算したところ,接種希望者の数と年齢構成が昨シーズンと同じと仮定した場合には,ワクチン必要量(成人+小児)が1.7倍になる見込みでした.

新型インフルエンザウイルスは鶏卵での増殖が不良なため,製造量を大幅に増やすことは困難です.新型インフルエンザの流行に備え,今シーズンは前シーズン比3割増のインフルエンザワクチンが製造される予定です.もし,小児への接種量の変更が当初の予定通り実施された場合には,ワクチン不足に陥ることは必至でした.今回,変更が中止されたため,ワクチン不足は回避されそうです.

7月28日,厚生労働省はインフルエンザ対策担当課長会議で,(1)今シーズンのワクチンは新型,A香港型,B型の混合ワクチンのため,昨シーズンのように新型ワクチンと季節性ワクチンを別々に接種する必要はない,(2)接種回数は昨シーズンと同じく13歳以上は1回,13歳未満は2回,(3)製造予定量は国内4メーカー合計で最大約5800万人分(13歳以上の接種量で換算)の見込みで,需要は最大5340万人分と推計されるので十分量が確保される予定,(4)優先接種対象者などは定めない,(5)昨シーズンは国が接種料金を一律に定めたが,今シーズンは市町村ごとに決定する,(6)低所得者(住民税非課税世帯)の接種費用の減免措置は継続する,などの事業案を公表しました.

上記の事業案を実施するにあたっては予防接種法の改正が必要ですが,参議院選挙の影響により継続審議になったままです.例年,10月初旬にインフルエンザワクチンの接種を開始していましたが,現在のところ改正案成立の可否,時期を含め先行きは不透明です.

今後どうなるのか,私たち医療機関側も心配しています.新しい情報が入ったら逐次お知らせする予定ですが,接種開始時期,接種料金などは直前になるまで分からない可能性が大です.

熱中症に注意!

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暑い日は「熱中症」に十分注意してください.重症度や症状によって,(1)熱けいれん,(2)熱疲労,(3)熱射病の3つの病型に分類されます.

(1)熱けいれん:熱中症のなか最も多い症状です.高温環境下で長時間の激しい運動により,大量に発汗したのに,ナトリウムの補給が不十分だと起こります.運動時や休息時に,突然,下肢(ふくらはぎが多い)の筋肉がけいれんを起こして,痛くなります.下肢だけでなく,腹部の筋肉がけいれんを起こすこともあります.意識,脈拍,呼吸数などは正常です.体温調節能は保たれており,体温は正常かやや上昇します.熱けいれんでは特別な治療は必要ありませんが,涼しい所,クーラーのある部屋で安静にし,スポーツドリンクなどの塩分を含む飲み物を取らせてください.

(2)熱疲労:高温環境下で激しい運動により,大量の汗をかき,血管内から水分やナトリウムが喪失してしまいます.症状は徐々に起こり,脱水,頭痛,めまい,筋肉痛,嘔吐,過換気,低血圧,頻脈が起こります.意識は保たれていますが,ボーとすることがあります.体温調節能は保たれており,体温は正常かやや上昇しますが,40℃を越えることはありません.熱疲労は,脱水性熱疲労(発汗で失われた水分とナトリウムが補給されない場合)と塩分喪失性熱疲労(水分だけが補給され,塩分が補給されない場合)に分類されます.熱疲労では衣服を脱がせ,涼しい所,クーラーのある部屋で安静にし,スポーツドリンクなどの塩分を含む飲み物を取らせてください.経口摂取が出来ない場合には,点滴が必要になります.

(3)熱射病:熱射病は熱中症のなかで最も重症な病型で,生命にかかわります.高温多湿,無風の環境下で,過度の運動や労働によって,熱産生量が熱放散量を上まわり,体温の自動調節能が破綻することにより発症します.一度体温の自動調節能が失われると,急速に体温が上昇します.症状は,高度の発熱(41-43℃),脱水,中枢神経障害(昏迷,昏睡,けいれん)が3大特徴です.多くの場合,発汗が停止しています.熱射病は,合併症として,低血圧,肺水腫,血液凝固異常,肝不全,脳浮腫,脳出血,腎不全などを起こします.熱射病は,古典的熱射病(老年者,乳幼児などに多く,発汗停止,意識障害,虚脱に陥る)と努力性熱射病(健康な若者に多く,高温多湿環境下での過度の運動,労作業により起こり,発汗が認められる場合もある)に分類されます.熱射病になったら直ちに入院が必要です.

熱中症の主な予防法は,(1)乳幼児を厚着にしない,乳幼児を車内に放置しない,(2)炎天下での長時間の過激な運動はしない(せいぜい1-2時間が限度でしょう),(3)木陰などで十分な休息を取る,帽子や日傘を使用する,(4)運動,労作業前には,あらかじめ最低500ml程度のスポーツ飲料を摂取しておく,(5)運動,労作業の開始後はまめにスポーツ飲料を摂取する(水,お茶類にはナトリウムなどの塩類が含まれていないので不適当です.スポーツ飲料のなかでも糖分が多く塩類が少なめのものは不適当です.表示を御覧ください.),(6)尿が十分に出るくらいに水分,塩類を補給する,
(7)汗をまめに拭き取る,シャツをまめにかえる,(8)冷たいタオル,冷凍したパック入りスポーツ飲料を用意しておいて,腋のしたや首すじなど血流の多いところにあてる,(9)涼しい風にあたる,うちわや扇子であおぐ,(10)筋肉がピクピクしたり,頭がボーとしたり,疲労を感じたら,(勇気をもって)途中でリタイアする,などです.

昨年は,柔道の大会中に「熱疲労」になった中学生が突然来院しました.高熱,過換気,頻脈がありグッタリしていたので,直ちに病院に紹介入院になりました.屋内でも激しい運動をすれば熱中症になります,

これから暑い日が続きます.十分にご注意ください.

川崎病患児続発

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2010年春から夏にかけて,当院では川崎病(MCLS、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群)が数例続きました.川崎病は,主として4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の疾患です.「川崎病診断の手引き(厚生労働省川崎病研究班作成改訂5版,2002年2月)」に診断基準が示され,その症候は主要症状と参考条項に分けられています(http://www.jskd.jp/info/pdf/tebiki.pdf.)

A 主要症状
(1)5日以上続く発熱(ただし,治療により5日未満で解熱した場合も含む),(2)両側眼球結膜の充血 ,(3)口唇,口腔所見:口唇の紅潮,いちご舌,口腔咽頭粘膜のびまん性発赤,(4)不定形発疹,
(5)四肢末端の変化:(急性期)手足の硬性浮腫,掌蹠ないしは指趾先端の紅斑 ,(回復期)指先からの膜様落屑 ,(6)急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹
*6つの主要症状のうち5つ以上の症状を伴うものを本症とする.ただし,上記6主要症状のうち,4つの症状しか認められなくても,経過中に断層心エコー法もしくは, 心血管造影法で,冠動脈瘤(いわゆる拡大を含む)が確認され,他の疾患が除外されれば本症とする.

B 参考条項
以下の症候および所見は,本症の臨床上,留意すべきものである.
(1)心血管:聴診所見(心雑音,奔馬調律,微弱心音),心電図の変化(PR・QTの延長,異常Q波,低,電位差,ST-Tの変化,不整脈),胸部X線所見(心陰影拡大),断層心エコー図所見(心膜液貯留,冠動脈瘤),狭心症状,末梢動脈瘤(腋窩など) (2)消化器:下痢,嘔吐,腹痛,胆嚢腫大,麻痺性イレウス,軽度の黄疸,血清トランスアミナーゼ値上昇,(3)血液:核左方移動を伴う白血球増多,血小板増多,赤沈値の促進,CRP陽性,低アルブミン血症,α2グロブリンの増加、軽度の貧血,(4)尿:蛋白尿,沈査の白血球増多,(5)皮膚:BCG接種部位の発赤・痂皮形成,小膿疱,爪の横溝,(6)呼吸器:咳嗽,鼻汁,肺野の異常陰影,(7)関節:疼痛,腫脹,(8)神経:髄液の単核球増多,
けいれん,意識障害,顔面神経麻痺,四肢麻痺

備考
(1)主要症状の(5)は,回復期所見が重要視される.(2)急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹は他の主要症状に比べて発現頻度が低い(約65%).(3)本症の性比は,1.3-1.5:1で男児に多く,年齢分布は4歳以下が80-85%を占め,致命率は0.1%前後である.(4)再発例は2-3%に,同胞例は1-2%にみられる.(5)主要症状を満たさなくても,他の疾患が否定され,本症が疑われる容疑例が約10%存在する.この中には冠動脈瘤(いわゆる拡大を含む)が確認される例がある.

川崎病は,上記の「診断基準」により診断する病気で,症状が非常に多彩です.病初の数日は発熱だけのことがほとんどです.当院から病院への紹介例の多くは,発熱が数日続き,血液検査でCRPが上昇して行き,「不明熱」で入院,その後数日して熱以外の主要症状が出現して川崎病の診断に至るというパターンです.発熱とほぼ同時に頸部リンパ節腫脹やBCG接種部位の発赤が出現し,川崎病を強く疑う例もありますが少数です.このような場合にも,病初の数日は診断基準に達するほど症状は揃いません.幸いにも,当院から病院へ紹介した例では冠動脈病変はありませんでした.早目の紹介と病院での適切な治療が奏功したと考えられます.

「診断基準」に示したような症状,とくに「主要症状」が出現した場合には,「川崎病」が疑われます.ご注意ください.

手足口病流行中

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2010年6-7月,当院周辺では手足口病が流行しています.

手足口病は,乳幼児の間で流行する夏かぜの一種です.コクサッキーウイルスA群16型およびその変異型,エンテロウイルス71型により起こります.ほかの季節に流行することもあります.手のひら,足のうら,口の中に小さな水ぶくれができる病気です.お尻や膝にできることもあります.熱はないか,あっても微熱程度で済みます.手足の水ぶくれは通常痛くありませんが,口の中にできると痛くて食べられなくなることがあります.手足口病の原因ウイルスは数種類あるので,何度でもかかることがあります.

手足口病は,自然に治るので,特別な治療は不要です.保育所や学校には,たとえ発疹があっても,本人さえ元気なら,行ってかまいません.発疹が消失して症状が軽快しても,数週間は便にウイルスが排泄し続けますので,症状のある期間だけの登園,登校禁止は全く意味がありません.日本小児科学会からこの旨の勧告が出されています.

1998年から2000年にかけて,マレーシア,台湾,大阪で,脳幹脳炎および肺水腫を合併する特殊な手足口病の流行があり,死亡例がありました.原因ウイルスはエンテロウイルス71型で,神経親和性の高い株でした(すべてのエンテロウイルス71型がこのような症状を起こす訳ではありません).マレーシア,台湾では多数の死亡があり,数週間にわたって保育園やプールが完全に閉鎖されました.万が一,このような特殊な手足口病が発生した場合には,同様の処置が必要です.中途半端に登園,登校禁止をしても意味がありません.

日本で今夏流行している手足口病の原因ウイルスは,エンテロウイルス71型です.既に,衛生研究所等で分離されています(http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/67f/hfmd2010.html

手足口病は通常は発熱がなく,手,足,口,尻,膝などに小水疱が出現し,重症感はありません.しかし,今夏の手足口病は,まず熱が出て,1-2日後に小水疱が出現します.小水疱の出現部位は,手,足,口,尻,膝に限らず,肩,太もも,体幹に及ぶことがあります.小水疱出現後,手や足の皮が剥ける場合もあり,例年よりやや重症感が強いようです. 現時点では,10数年前にマレーシアや台湾で流行したような強い神経症状を起こすようなものではありませんが.今後の動向には注意が必要です.

「おしゃぶり」を考える

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日常診療で「おしゃぶり」をしているお子さんを見掛けます.「おしゃぶり」の使用の是非を質問されることもあります.「おしゃぶり」の使用をどう考えたらいいでしょうか?

おしゃぶりの使用と乳歯の噛み合わせとの関係を調べるために, 1歳6か月児,2歳児,3歳児,5歳児歯科健康診査に来院した1120名について調査したところ,2歳児ではおしゃぶり使用群で開咬(奥歯で噛んでも前歯が開いてすき間ができる状態)が高頻度にみられ,5歳児ではこの傾向がさらに増大したと報告されています.4-5歳の小児432名についての調査でも,おしゃぶりを年齢が高くなるまで長期に使用すると乳前歯部が開咬となりやすいという結果が得られています.いずれの調査結果も,おしゃぶりを長期に使用すると噛み合わせに悪い影響を与えることを示しています.

前述の調査によれば,おしゃぶりの使用は3歳になると急激に減少します.おしゃぶりの使用を2歳頃までに止めれば噛み合わせの異常は改善します.しかし,乳臼歯が生え揃う2歳6カ月さらに3歳過ぎまで使用していると噛み合わせの異常が残ってしまいます.

おしゃぶり使用の利点としては,簡単に泣き止む,静かになる,入眠がスムースになる,母親の子育てのストレスが減るなどが挙げられています.しかし,おしゃぶりの販売宣伝に使用されている「鼻呼吸や舌や顎の発達を促進する」ということは,現時点では学問的に検証されていません.一方,欠点としては,習慣性,長期間使用すると噛み合わせが悪くなる,子どもが泣いている理由を親が考えなくなる,あやす機会が減る,言葉掛けが減る,ふれあいが減る,発語の機会を奪うなどが挙げられます.5-6か月以降の乳児はなんでも口に持っていってしゃぶります.これは目と手の協調運動を学習するとともに,いろいろのものをしゃぶって形や味,性状を学習しているのです.おしゃぶりを使用していると手で掴んでも口に持っていくことができず,このような学習の機会が奪われることになります.親の働きかけに対する声出しや,自分からの声出しもできません.おしゃぶりは一度使用すると長時間にわたり使用する傾向があるので,発達に必要なこのような機会が失われることになります.しかし,おしゃぶりが愛着形成を阻害するという意見について学問的根拠はありません.

結論としては,「おしゃぶりは出来るだけ使用しない方がよい」ということなります.やむを得ず使用する場合には,咬合の異常を防ぐため, (1)言葉を覚える1歳過ぎになったらおしゃぶりのフォルダーを外して常時使用しないようにする,(2)遅くとも2歳半までには使用を止める,(3)おしゃぶりを使用している間も声かけや一緒に遊ぶなど子どもとのふれあいを大切にし,子育ての手抜きや利便性からだけでおしゃぶりを使用しないようにする,などの注意が必要です.

(*2005年1月12日,日本小児歯科学会「小児科と小児歯科の保健検討委員会」発表,「おしゃぶりについての考え方」(http://www.jspd.or.jp/public/about_pediatrics_04.htm)より引用抜粋.)

2010-11シーズンのインフルエンザワクチン

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従来の季節性インフルエンザワクチンには,Aソ連型(H1N1),A香港型(H3N2),B型の3つの株が含まれていました.2009年に新型インフルエンザ(H1N1)が発生し,世界的に大流行をしました.2009年秋には,日本では,季節性インフルエンザワクチンと新型インフルエンザ単独ワクチンが併用されました.皆さんご存知の通り,インフルエンザワクチンをめぐって医療現場では大混乱が起きました.

2010年2月18日,世界保健機構(WHO)は2010-11シーズンの北半球におけるインフルエンザワクチン推奨株をA/カリフォルニア/7/2009(H1N1),A/パース/16/2009(H3N2),B/ブリスベン/60/2008の3株にすると発表しました.選定理由は以下の通りです.

2009-10シーズンは世界各国で新型インフルエンザが大流行しましたが,分離株は遺伝子的に均一で,
A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)に類似したものでした.Aソ連型(H1N1)はほとんど分離されませんでした.A香港型(H3N2)は複数の国で散発的に発生しましたが,A/パース/16/2009(H3N2)に類似していました.B型はアジア,オーストラリア,ニュージーランド,アフリカの数カ国,ヨーロッパ諸国,アメリカ大陸の多くの国で発生がありました.B型インフルエンザウイルスは,ビクトリア系統と山形系統に2大別されます.2009-10シーズンは両者が流行しましたが,前者が優勢でB/ブリスベン/60/2008と抗原性が類似していました.

WHOは,2010-11シーズンは新型インフルエンザ(H1N1),A香港型(H3N2),B型が流行する可能性があり,新型インフルエンザ(H1N1)が優勢になる見込みが強いと予測しています.Aソ連型(H1N1)は流行するとは考えにくいため,ワクチンに加えることを推奨しませんでした.

日本国内における動向は以下の通りです.

2010年6月23日,厚生労働省健康局結核感染症課は2010-11シーズンのインフルエンザワクチンについて国立感染症研究所の検討結果報告に基づき,A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm高増殖株X―179A,A/ビクトリア/210/2009(H3N2)高増殖株X―187(WHO推奨株の類似株),B/ブリスベン/60/2008の3株とすることを決定しました.

2010-11シーズンは,インフルエンザワクチンの小児への接種量が増量される見込みです.従来,1回の接種につき1歳未満には0.1ml,1-6歳未満には0.2ml,6-13歳未満には0.3mlを2回接種していましたが,効果が低くなる場合があると指摘されていました.HHOの推奨する用量は,1回の接種につき3歳未満には0.25ml,3-13歳未満には0.5mlを2回接種です.独立病院法人国立病院機構がこの用量による臨床試験を全国の8医療機関で実施し,既に効果が確認されています.ワクチンメーカーは接種量の変更申請を既に行ったようです.

2010-11シーズンに向けては,(1)小児への接種量が増量されるため,ワクチン必要本数が増える.(2)小児への接種量変更に伴い添付文書の改訂などが必要になるが接種時期の10-11月に間に合うかどうか不明.(3)新型インフルエンザウイルスは鶏卵での増殖が不良なため製造量を大幅に増やすことは困難である.(4)2009-10シーズンに厳しい国家管理下に供給された新型インフルエンザ単独ワクチンは価格的に割高であったため,2010-11シーズン用ワクチンの価格アップの可能性がある,など懸念材料が多いのが現状です.不確定な部分が多く,私たち医療機関側も心配しています.新しい情報が入ったら逐次お知らせする予定ですが,接種開始時期,接種料金などは直前になるまで分からない可能性が大です.