日本脳炎ワクチンの接種年齢は,1期(3回)が生後6カ月以上7歳6カ月未満,2期(1回)が9歳以上13歳未満と定められています.標準的接種スケジュールは,3歳で1期初回2回,4歳で1期追加1回,9歳で2期1回です.
2005年5月,「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」の接種後に重症の急性散在性脳脊髄炎患者の発生があったことから,厚生労働省は市町村に対して接種の積極的な勧奨を差し控えるように通知をしました.その後,接種率は大きく低下しました.勧奨中止から約5年が経過し,5学年分の未接種者が存在しています.2005年の3歳児,4歳児,9歳児は,2010年にはそれぞれ8歳,9歳,14歳になっています.
2009年6月に,乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン「ジェービックV」が発売されました.それ以降,1期は「ジェービックV」と「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」,2期は「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」が公費負担による接種で使用可能になりました.しかし,2010年3月に「マウス脳由来日本脳炎ワクチン」の在庫が枯渇してしまい,公費負担で接種を受けられるのは「ジェービックV」を使用しての1期のみという状態が続いていました.
2005年5月以降,市町村による勧奨は中止になりましたが,制度そのものは継続しており,接種が全面的に中止になったわけではありません.従って,事情を知っている希望者にはこの間も接種が行われて来ました.
2010年4月,3歳児に対する1期初回2回についてのみ,市町村による積極的勧奨が再開されました.
2010年8月27日,厚生労働省は予防接種実施規則の一部を改正し,2期に接種可能なワクチンとして乾燥細胞培養日脳ワクチンを追加,従来のマウス脳由来日本脳炎ワクチンを削除,さらに当分の間1期の不足分の回数を,2期の期間中に接種可能としました(官報第5385号).
この改正により,1期(初回2回+追加1回,生後6カ月以上7歳6カ月未満),2期(1回,9歳以上13歳未満)ともに乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンが使用可能になりました.さらに,1期を全く接種していない場合には残り3回を,1期を1回接種した場合には残り2回を,1期を2回接種した場合には残り1回を,2期の期間中に接種を受けることができるようになりました.
ただし,以下の2点に注意が必要です.
(1)1期と2期の狭間の年齢(7歳6カ月以上9歳未満)は,これまで通り定期接種の対象外です.この期間に接種を受ける場合には公費負担を受けられず,自費になります.
(2)市町村による積極的勧奨の対象は,3歳児に対する1期初回2回についてのみです.1期追加,2期は積極的勧奨の対象ではないので,市町村から接種勧奨の個別通知は来ません.接種漏れがある場合にも,接種勧奨の個別通知は来ません.(ただし,市町村によっては簡単な案内を出す場合もあるようです.)積極的勧奨を3歳児に限定している理由は,多数蓄積されている接種漏れ者が一斉に接種を受ける事態になればワクチンが不足する可能性があるからです.現在は,1期追加,2期および接種漏れがある場合には,気付いた人だけが接種を受ける機会を得るという状態です.
母子手帳の予防接種欄の日本脳炎ワクチンの箇所をチェックしてください.当該年齢を過ぎているのに空欄がある場合には,接種漏れです.ワクチンの供給不足は現時点では起きていませんが,今後どうなるかは不明です.早目に接種を受けてください.