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重複感染に注意!

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2012年2月中旬,当院周辺ではA型およびB型インフルエンザが混合流行しています.これらに加えて,溶連菌感染症,マイコプラズマ感染症,RSウイルス感染症,咽頭結膜熱を含むアデノウイルス感染症,ノロウイルス胃腸炎が流行しています.これらの病気に罹患したお子さんで通常よりも発熱などの有症状期間が長い場合には,同時に複数の感染症に罹患している可能があります.以下は2月に入って,当院で実際に経験した症例です.

4歳の花子ちゃんは気管支喘息の持病があり,ロイコトリエン受容体拮抗薬(商品名:キプレス)を内服していました.ある日,39.4℃の発熱で受診しました.迅速診断キットで検査したところ,A型インフルエンザが陽性でした.タミフルを処方しました.4日後に再度受診しましたが,発熱が持続していました.咳が激しく,聴診器で軽い喘鳴が聴取され,喘息発作が起きていました.今シーズン流行しているA型インフルエンザはA香港型で,タミフルがよく効きます.通常であればタミフル服用の翌日か翌々日には解熱しているはずです.花子ちゃんはきちんとタミフルを服用したそうです.インフルエンザでも喘息発作が誘発されますが,どうもそれだけではないようです.胸部レントゲンを撮影すると右下肺野に陰影がありました.当院周辺ではマイコプラズマ感染症も流行しています.花子ちゃんのレントゲン像からはマイコプラズマ肺炎が強く疑われました.現在流行しているマイコプラズマの多くはマクロライド耐性で,従来奏功していたクラリスやジスロマックなどのマクロライド系抗生剤が効きません.そこで直ぐにニューキノロン系抗生剤のオゼックスを処方しました.血液検査の結果はCRPが8.4mg/dl,抗マイコプラズマ抗体は1280倍で,やはりマイコプラズマ肺炎でした.オゼックス投与後2日目には解熱をし,喘鳴も軽快しました.花子ちゃんはA型インフルエンザとマイコプラズマの重複感染で,気管支喘息の発作が起きてしまったのでした.

10歳の太郎君が38.5℃の発熱と喉の痛みで受診しました.太郎君の妹も全く同じ症状で一緒に受診しました.2人とも診察すると喉が真っ赤でした.迅速診断で2人とも溶連菌が陽性だったので,抗生剤を処方しました.翌日再度受診したのですが,太郎君は熱が下がっておらずぐったりしていました.太郎君の妹は熱が下がり元気でした.溶連菌感染症は,通常は抗生剤を内服すれば翌日には解熱します.太郎君のクラスではインフルエンザが流行しているそうです.迅速診断キットで検査したところ,A型インフルエンザが陽性でした.イナビルを処方したところ,直ぐに解熱しました.太郎君は溶連菌感染症とA型インフルエンザの重複感染でした.

5歳の次郎君が,1週間前からの激しい咳と前日からの39.0℃の発熱で受診しました.迅速診断キットでB型インフルエンザが陽性でした.咳が激しく,夜間十分な睡眠が取れないそうです.インフルエンザでは肺炎を合併することがあるので,直ぐに胸部レントゲンを撮影しました.右下肺野に陰影がありました.血液検査ではCRPが4.5mg/dl,抗マイコプラズマ抗体が640倍でした.通常,インフルエンザでは発熱が最初で,咳はその後に長く続きます.次郎君の場合には咳が先行しており,インフルエンザ肺炎では説明がつきません.結局,次郎君の1週間前からの激しい咳はマイコプラズマ肺炎で,前日からの発熱はB型インフルエンザによるものでした.タミフルとオゼックスを処方したところ,翌々日には解熱し咳も治まりました.

1歳の春子ちゃんが,高熱と結膜充血で受診しました.咽頭結膜熱でした.点眼薬と解熱剤を処方したところ,2日間で症状は消失しました.保育園の登園許可証をもらうために受診しようとした日の朝に,40,0℃の発熱が出現しました.春子ちゃんの母は2日前にA型インフルエンザに罹患したそうです.迅速診断キットで検査したところ,春子ちゃんもA型インフルエンザが陽性でした.タミフルを服用し,熱は下がりました.春子ちゃんは咽頭結膜熱の直後にA型インフルエンザに罹患してしまったのです.

この他にも,A型インフルエンザ治癒直後にノロウイルス胃腸炎に罹患して激しい嘔吐が始まった,溶連菌感染症後の抗生剤服用期間中に発熱があり検査したところB型インフルエンザだった,などのお子さんが少なからずいます.

お子さんの体調に十分ご注意ください.