2011年3月
  館長の ホット de ワイド




 2006年4月にこの美術館に着任してから私は多くの方々と出会い、画家富岡惣一郎の生き方や作品から沢山のものを学んだ。しかし、最近になって、画家最晩年の「星」の作品だけは自分なりの言葉で話せなかったことに気づいた。何故だろう…と自分で考えてみた。2月上旬、駐日大使館雪国ツアーという団体旅行参加者のうち8名の来館があった。展示室に案内すると、その中の1人が「ジョン・レノンの音楽に繋がる!」と感嘆の声をあげた。1970年代にレノンが発表した平和を願う賛歌に通じるものを感受したらしい。何の予備知識もなく、トミオカホワイトの作品を素直に受け入れる柔軟さと感性の鋭敏さに脱帽。
 一行を見送りながら、私は自分の頭の中にこびりついてしまっている観念(トミオカホワイトはこうあるはず、こうあるべき)の存在に気づいた。これでは「星」に近づけない。
 さて、画家はさまざまな難しい課題を乗り越え、白と黒による独自の作品を発表。世界的に高い評価を得ながらもその到達点に安住することなく次々と新たなテーマに挑戦、それが「星」に繋がる。(画家は「太陽」や宇宙・星雲」まで考えていたらしい。)
 この作品は、大小の星が緊密なバランスを保ち、力みを感じさせずみごとに浮き上がっている。さらに、画面の要所となる星には意表を突く白と黒以外の赤色…。画家はこれを自分の魂と言っている。しかし、私はこの赤を作品を見る側への画家からの熱いメッセージと捉えたいと思う。こだわりを捨て去り常に新たな一歩を踏み出そうとした画家の大胆さ…。画家のその姿勢から学ぶものは多い。私はその視点から画家の「星」に近づいてみたいと思う。


2月は穏やかな日が続き、八海山もずいぶん春らしくなりました。皆さまのところはいかがでしょうか。
早いもので、今年度も3月のみとなりました。美術館へは足をお運びいただけましたでしょうか。3月は8日から作品入れ替えのため休館となります。12日から春らしい作品を展示いたします。
是非、おいでください。 

  2月27日の八海山→

               

   智弥子さんからのお便りです。
 
  
雪、雪、雪…白銀に埋め尽くされて大変なこのごろですが、関東ではそろそろ梅がほころびはじめるころでしょうか。
 鳥インフルエンザ等、暗く、不安なニュースの多い中、冬の新潟ならではの白鳥を見に行ってきました。
 純白の花を水に浮かべたような優雅な白鳥を見ていると心が癒されます。
 甘えるしぐさの岸辺の白鳥に、マリー・ローランサンが三十代前半描いたといわれている「白鳥と若い女たち」という絵を思い出しました。二人の裸婦が、淡い色の中に描かれていて、一方の女が白鳥の長い首と戯れている絵です。
 数年前に長野県茅野市の美術館で見た自画像と共に心に残る絵です。
 その時求めた、日本の美術評論家が書いた、マリー・ローランサンが生まれてから死ぬまでが、淡々と綴られた本の中には、堀口大学訳の詩も紹介されていました。
 
    追はれた女より/もっと哀れなのは/死んだ女です 
    死んだより/もっと哀れなのは/忘れられた女です
 マりー・ローランサンは、とうに亡くなりましたが、彼女の絵画も詩も忘れられることなく生きつづけています。

 
  ローランサンの絵が運ばるる雪解道 智弥子
 

   ブログ ご覧ください。

   南雲君(の忠犬 オイ君) の 八海山日記
       本日の八海山がご覧いただけます。