logo of red cross乳幼児の肥満の新しい考え方


1.幼児の肥満とやせの判定表・図(成長度判定曲線)策定の趣旨
  幼児期の肥満は、成人肥満に移行しやすく、肥満が続くと高血圧や糖尿病、心臓病等の誘因となるので、生活習慣病の予防、健康づくりのためにも小児期からの肥満予防は重要です。このためには、適切な肥満の判定基準の確立が望まれるところでした。
簡便で正確な幼児肥満の判定法が未だ開発されていなため、肥満の程度を身長と体重のバランスから判断しいるのが現状でした。
 保健所や市町村等では、「カウプ指数(BMI)」が多く用いられています。しかし、カウプ指数は、標準値が年齢、とくに身長の大小によって異なる特性があり、その数字の意味するところが分かりにくい欠点があります。例えばカウプ指数24で、高度肥満であるといわれても、カウプ指数18とどのように違うのか、一般の人には理解出来ない等の問題があります。また、医療側としても治療上の具体的な目標値を示すことが出来ない欠点があります。
 このため、現在の日本人の小児における性別、身長別の体重の分布を基として、母親等にもわかりやすく利用されることを目的として小児(幼児)の肥満、やせの一次的スクリーニングを目的とした"肥満とやせの判定表・図(成長度判定曲線)"が策定されました。
 また幼児期の肥満は肥満度+15%以上と定義されています。

2.肥満とやせの判定表・図(成長度判定曲線)策定の方法・内容
  肥満度は下記の肥満度の式(A)のごとく、標準体重と実測体重の差が標準体重に占める割合で表されます。
  肥満度=(実測体重−標準体重)÷標準体重×100 (%) ――――式(A)

 標準体重は身体発育の目安として活用されている厚生省の平成2年度乳幼児身体発育値から求めた下記の式(B)、(C)の算定式による方法をとっています。
    男児ではY=1.83×10-3X2-0.071X+4.43――――――式(B)
    女児ではY=2.34×10-3X2-0.157X+7.71――――――式(C)
        Y:標準体重(kg) X:実測身長(cm)

この二次式で表わされる身長と体重の相関式に実測身長を代入すれば標準体重が求まり、肥満度の式(A)から肥満度を計算することができます。
この算定式により求められた身長別標準体重と各肥満度を表す曲線が成長度(肥満・やせ)判定曲線です。成長度判定曲線の図は横軸が身長(cm)に、縦軸が体重(kg)になっています。
 図には曲線が6本描かれています。それらは肥満度がそれぞれ+30%、+20%、+15%、0%、−15%、−20%の曲線です。0%の曲線が標準体重を意味します。この図を用いれば身長と体重から肥満度がどの程度かを判断できます(図1)。

3、肥満とやせの程度の区分と対応
 肥満とやせの判定については、「ふとりすぎ」から「やせすぎ」まで6段階に区分されています。それぞれの区分に応じて、対応方針を示しているのが特徴です(表1)。
なお、発育歴、両親、特に母親の肥満、成人病の家族歴の各事項についても確認し、特に成人病の家族歴を有する者に対しては、表の@〜Bの各区分にかかわらず医療機関に紹介することが望ましいとしています。

4、幼児期の肥満の定義を、肥満度+15%以上としたことが特徴です。
  成人を含めて学童以降は肥満度+20%以上が肥満と定義されます。これに対して、従来より幼児期は、肥満度+15%以上を肥満と定義するように提唱されています。これは3歳児の肥満度+15%以上が頻度からみて学童の肥満度+20%に相当すること、3歳時に肥満度+15%以上である幼児は高率に学童期に肥満度+20%以上となることがその理由です。

5、肥満とやせの判定表・図(成長度判定曲線)を使用する利点
 この成長度判定曲線を1歳半、3歳児、その他の幼児期の健康診査時に使用する、あるいは母親等が個別に利用する利点は以下のものが挙げられます。
@,身長と体重を図の上にプロットするだけで肥満とやせの程度が視覚的にわかる。母親等にも分かりやすい。
A、体型の経時的変化が分かる。
B、年齢と発育との関係も併せて見ることができる。
C、新生児から幼児期にかけての体型を経過として追うことができるので、肥満ややせについて一時点の現象として捉えるのではなく適確な判定を下すことができる。個々の幼児の発育の流れを把握することができる。

 幼児期以降は、一度太り始めると肥満を解消することが困難です。ですから幼児期から肥満しやすい生活習慣を見直す姿勢が必要です。そのような意味からこの成長度判定曲線を利用して太り始めをとらえ、適切な肥満予防指導を行うことが重要であると考えられます。


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